kenmeinakurashiのブログ

介護、老後を賢明に生きる公共、企業の制度利用法。

母 帰宅する。

コロナウィルス対策で面会も限定的になっている中、厳重に感染予防をした中で、1泊2日の帰宅が認められ、母を自宅に連れ帰った。

家は母が快適に過ごせるように体制は整えてあり、居心地はホーム以上にいいはずで、何より、母の好みに応じた料理を妻が作ることで、口に合う食事を楽しめるはずだった。

自分の部屋から家族に電話で近況報告をして、楽しそうに1日目を過ごしていた。

お母さんの好みの番組をいつも妻が連絡して。

母は巨人軍のファンで、野球中継があると、今でも妻が電話をして、何チャンネルで巨人の放送をしていると教えてあげていた。中でも、坂本勇人選手がひいきの選手で、今は2000本安打をいつ達成するかに大きな関心を寄せていた。

妻は他にも、母の好みのテレビ番組があると事前に伝え、始まる直前にも知らせるようにしていた。クラシックのコンサート、世界の風景や旅番組、世界の歴史、美術史などが母の好む番組だった。

家での直接介護という肉体的な負担からは確かに解放されたが、気持ちの面では、かえって、自宅に母がいた時以上につながろうと気をつけていて、介護の緊張感は緩むことはないように思われる。

結局、介護と言うのは、こうした当事者でなければその本当の苦労、心労は理解しにくく、その当事者の大変さに思いを馳せることができる親戚、親族が多くないということは、想像ではその真の部分を分からないからだと思う。

わが家でも、妻の兄弟と、そこの理解をしてもらえないことで溝が出来ているように思う。

お母さんのホーム療養費は医療費控除の対象になる。

6月から発生しているホームの療養費は、その半額が医療費控除の対象になるのだという。1カ月約9万円の療養費は、4万5千円が医療費控除の対象で、年換算にすると54万円にものぼる。母の医療費控除だけで、44万円の20%、約8万8千円が控除額になる計算になる。

それに家族の医療費も加わると、医療費控除額だけでも大きな金額になる。もし母の療養費がその対象額になることが分かって税額の還付の可能性が生じたが、それを知らなければ、税額の還付など受けることはなかった。

介護には、こうした知らないことで、余計にお金を払っていたり、受けることができるサービスを知らずにやりすごしていたりということが数多くあるように思われる。たまたま周囲に親切にアドバイスをしてくれる人がいると助かるが、特に行政は、申告してこない人に、手を差し出して教えてくれるということは、ないように思う。

それだけに、自分自身であらゆる可能性を調べて、だめもとの精神で問い合わせを何回もしていくことがとても重要だと思うようになった。

自宅での一番楽しかった思い出は何?

午後に家族3人でホームに母を尋ねた。

ミーティングルームは、我が家含めて3組の家族が面会に来ていて、初めて見るちょっとした賑わいだった。

母は、同居していた自宅の一番のいい思い出は何かと、孫であるうちの子供に聞いた。考えてみると、自分は同居していた家を新築に建て直してからこっち、楽しい思い出しかなく、最後の最後でこんなことになってしまった(障害を負うたこと)けれど、考えると楽しかったシーンしか浮かばないと言うのである。

うちの子供は、とっさに○○とは言えず、しいて言うなら毎日楽しく暮らせているかなと、本音なのか嘘なのか、当たり障りのない返答をした。

言われてみると、自分のその家での一番楽しい思い出は何だろうかと考えさせられた。自分たちのため、母のため、一族のためにと大きな借金を背負って、人が集まれる家を新築したが、母が障害を負うやいなや、ファミリーはその介護を支援するとは言わず、自分たちの出来る範囲で手伝うと、自分たちは何かを犠牲にしてまでも介護は助けないと言い放ち、大きな溝ができてしまった。いまそのことを残念に思う自分にとって、家での思い出と言われても、ファミリーの思い出はすべて、虚構だったのではないかと思われた。

しかし、そのことを母に伝えるのは忍びなく、何も答えずに今日は帰ってきた。

週末は誰かが母に会いに行く。

妻が母に会いに行ったのは昼前だった。妻が成人式で着た振袖を、先日姪がその成人式で着てくれて、妻も母もそれをたいそう喜んだ。妻が着た後、一度も誰も着ることのなかった振袖に姪が袖を通してくれたのだ。

そして今日は、その姪の姉もその振袖を着て記念撮影してくれることになり、その着物を母の前で手渡しに行ったのであった。母にとっても嬉しいシーンで、母、妻、姪、姪の母の女性4人で振袖を前にガールズトークに花が咲いたようだった。

週末は、我が家はじめ、どこかの家族が会いに行く予定があり、母の脳を刺激することになっている。

ホーム帰着に5分遅刻して。

昨日夜8時までに母をホームに連れて帰る約束をしていたのに、結局8時5分の5分過ぎ到着になり、約束の時間に5分遅れてしまった。本当に申し訳なく思い、妻は朝一番でお菓子を持ってお詫びに伺った。ホームの事務所の担当者はかえって恐縮していたというのだが、約束を守ることが、今あるホームと我が家の信頼関係のもとになっていると思うからこそ、詫びるべきはしっかりお詫びをするべきと考えた。

一方、母本人は、今日は入浴はあるものの、大きなイベントはなく、1日ゆっくり過ごせたという。こういう穏やかな1日も時にはいいと思うが、最近の母は、毎日がこれくらい何もない方がいいということが、家族には気になるところである。

母 ホームに還る。

1泊2日の予定をつつがなく、ゆったりと我が家で過ごし、母はホームに戻った。戻ったと言ってもわが家から徒歩3分圏内で、自分が仕事から帰って、車椅子を押して戻って行った。

ホームは、昨年後半に開設されたばかりの新築で、スタッフのみなさんも全員気持ちよく接してくれる。個室でスタッフからも優しくしてもらえることから、ホームに到着した時、母は第2の我が家に戻ってきたと言った。

それでもやはり自宅はいいと、ずっと言っていただけに、これからもホームが許してくれる限りの中で、連れて帰ってあげたい。